□あの 町□


あの 意味とは?
つまり
この 存在意義ではないのか?


天は時を選ばぬというのに
なぜそのような時になったのか?
この 痣というよりもタトゥー 
で残し。


祓えぬ過去と 祝福を想像できぬ未来が
片隅のローソクのように
心もとなく揺れた。


この 歓喜に満ちた確信を
やがて 
幼子の残酷さで踏みにじって去り。


・・・夜露に湿った孤独なら 
棘だらけのいばらに咲かせ
小さな水滴をかき集めながら生かして来た。


すっかり焼き払われたこの 根づいた町
至急の復興など想像し得なかったが


驚くほど あの 勢いある町として蘇り始めた
進取の理念と不屈の意志で
目まぐるしく成長してゆく町だ。


衆目を集めながら
待ち焦がれた未来が細胞分裂している
デザインする者だけに見えている あの形だ。


あまりにハイスピードでかたどられる町に
取り残されまいと
このわたしは懸命にもがいてしまうのだ。


あの町で暮らす
それだけでよいものを。


あの町に生きる
それだけでまた希望が生まれるものを。





















   □ピピッピピッピピッ□


キーに触れたい指なのに
なぜか意固地になってしまいます


馬鹿みたいに真っ直線だったころが懐かしくって
なぜか居心地悪く感じてしまいます


ある日を境に
さながら混沌の思考と行動が
円を真っ二つに切ったみたいに背を向けあって
本音が定まらないのです


あの自信に憧れるにもかかわらず
錯覚かどうか・・・微かな不遜の色を感じるとき
その危なっかしさについ恐ろしくなるのです


動いてはいけない時に動けば治りかけの傷口が開いてしまう
そんなことなど怖れもしないところが
らしいとも思えるけれど


きっと・・・人の力の及ばぬもの畏れる心は
なくさないほうがよい
わたしのアラームはそう言って
静かに鳴り続けているのです


そうは思わない
人の怖れるところへぶつかり通り抜けてみせる
・・・そんな君の声が聞こえてきそうだけれど

   □挑戦□

 

 

悩ましい

どの子を抱き締めようか

将来の相棒に誰が一番良い相性か

 

 

やっとやっと 本当にやっとのこと授かった五つの命

老齢になったわが相棒クンの子供たちは 凄まじい速度で成長している

 

 

父ちゃんと暮らしたい子誰かな?

ウチの子になりたいのは誰かな?

と言ったって

母ちゃんのお里で元気に成長した五兄弟

ご飯食べて腹が満腹になれば 互いに一暴れ

反則技制限なしのバトルロイヤルが始まる

 

 

小さくても各々に個性があり意志がある

互いの優位性は五分と五分

なかなか激しいじゃれ合いも 小さな社会での人生修行だ

 

 

そろそろ濃密な人との関わりが必要で躾を始めるタイミング

 

 

今日は餌やりの手伝いがてらオチビさんたちを眺めている

 

 

一段低い所でこぼれた餌を片付けていたら

わたしの背中に突如ドーン!

フライングアタックちびちびスペシャルの洗礼

十キロ越えの荷重が無防備な背中に・・・ゔゔ

しかも尖った爪の小さなピッケルが食い込んで・・・イデデーッ!

着地は お前十点満点のわたしOh My God! 

 

 

男の子も女の子も喧嘩は互角

体重も互角

もう・・・ちびちびとは言えなくなって来てる

 

 

この老体は十数年付き合っていけるのか?

最後の大型犬・・・ちょっとキツいか?

どこまでいけるかじゃなく 最後までやり遂げるしか選択の余地はない

 

 

わたしの挑戦 

決まった結果しかあり得ない挑戦

無謀な挑戦

でもやりたい

やってみる

きっとやり遂げる

 

 

 

 

 

 

 

   □雨、雨、そして雨□

 

 

素敵な雨のお話―

 

 

その傘は

雨宿りの恋人たちを

元の主からの爽やかな博愛に包んで

恋の1ページのささやかな栞になったのでしょう

 

 

雨上がりの偶然―

 

 

その歌うたいは

路上パフォーマーの声に誘われ

懐かしい曲を共に歌って

明日への一歩に確かな勇気を授けられたことでしょう

 

 

わたしの小雨―

 

 

昼下がり無人の墓地

遠に見送った父さんと兄さんに花束を供え

遅ればせの命日を詫びたとき

やっと安堵の時計がわたしを刻み始めたようです

 

 

かの地の豪雨―

 

 

時に多くの命も希望も押し流し

財産も思い出もふるさとの景色も奪いゆく現実を見せつける

わたしは穏やかな雨の恩恵たちを感謝しつつ

あの痛ましい魂たちの平安を祈るばかりです

   □小さきもの~草取り中、雑草に学ぶ日々生き方の考察□

 

 

小さきものは勤勉なり

 

 

小さきことを繰り返し

小さきものを生み出す

 

 

小さきことを重ね上げ

小さきものを満足とする

 

 

小さきことを積み上げ

小さきものを成し遂げる

 

 

小さきものは幸いなり

 

 

大を成せずと悔やむことなく

そこに生き

そこで小さきものとして在り続けたことを誇る

 

 

世に媚びへつらい他者(ヒト)に劣等感を抱くことに

何を見出だせるというのか

あるがままの自分をあるがままに見つめている

 

 

小さきものが息をする

小さきものが考える

小さきものが悩む

小さきものが頷く

小さきものが・・・

小さきもの・・・

小さき・・・

 

 

小さきものが奥歯を噛みしめ

小さきものが前を向いている

 

 

いつか

小さきものは笑う

いつものようにいつものところへ落ち着き

いつものままそこに在ったと

静かに目をつむる

 

 

このとても小さく

このとてつもなく力強いもの・・・

 

 

そうだとも

絶えることなき命!

繋ぎ続ける命!

 

 

            ~時々とてつもなくふさぎ込みそうになる人に

   □自然の力□

 

 

夏の贈り物

私にくれたいちじくの木

秋と冬と春が流れた

 

 

いちじくの木は

一番寒いころ剪定される

 

 

薄灰色の樹皮の表面

わずかに膨らむ一番下の新芽

八重桜が終わるころ元気に芽吹く

 

 

新芽の先の枝は

スッパリ切り落とされる

 

 

まあ!

たくましき命の残骸!

嬉しい驚きのいとおしさ

 

 

夏の脱け殻

七日の命の吟遊詩人

秋と冬と春が流れた

 

 

いまだにそれは

力一杯幹にしがみついていた

 

 

 

 

   □呼吸□

 

 

寄り添えば寄り添うだけ

意図せず染まる

 

 

別々の色が陣地を競いながら 

境目からどんどん新しい色に生まれ変わる

 

 

恋とは そんなふうに呼吸する