自分は同じところから抜け出せずにいるよう
まさかの置いてきぼりなど望んでる訳ではないが
誰かならとっくに先へ行ったよう
夢に生き続けようとする者には過去など枷になるだけなのだから
もし恥ずかしげもなく自己弁護を許されるならば
たった今掘り出したばかりの化石のように
ひんやりとした剥き出しの傷痕にも
確かにそれなりの情理はあると
形のないささやかな特別がたぶんあって
人が思いつく限りの何かで遮ろうとも
例えば水が
やがては低い所に戻り混ざり合っていくように
確かにそれなりのそれがいつかはと
何事か善き事をなす者は
空の端々にまでその思いを並べ雨に含めて降らせるだろう
何かの特別を信じる者は
小さな爪痕を残そうと言葉の海に溺れあがくだろう
時はすべての神 時はこの世のすべての父母(ちちはは)
すべての出来事こそわたしの父母 わたしは過ぎ去った時の子供
定規の目盛りより正確に刻まれる時の懐で
生きられる限り生きたなら
時の息子も時の娘も
幸せだったと言いたくなるのだろうか