空を突き抜けたところに
とても視力のいい鳥たちが飛んでいるそうだ
この青い星を
いつもくまなく見張っているらしい
大きな大陸の傍
大きな海の端
そこに龍のかたちをした小さな国があるそうだ
虫の鳴き声を
美しい音色にとらえる耳をもつ人々の住む島らしい
万物に神を見るおおらかさや
譲り合いの精神も
まだ残る国らしい
龍の心臓あたりで
政治家たちは
あしたを呑気に夢見ていたそうだ
赤い虎に尻尾を狙われるのを恐れ
薄目をあけて見張っていたが
痛みもないうちに
気づかないうちに
実は頭部をあちこちかじられていた
鋭い牙は
子をくわえるように
やんわり喉笛に当たっているらしい
龍がもしこのまま
喉を噛まれ頭を食いちぎられるなら
その心臓や胴や尻尾だけで生きながらえられるのか
龍の島
龍の国は
いったい
どうなってしまうのだろう