正月といっても
特に何か変わることもない
昨日までの自分があって
日の呼び方だけが今日になったのだ
昨年までの自分があって
年の呼び方が本年になったのだ
知らないうちに
生まれ変わっていく体の細胞のように
心だって
気づかないうちに
少しずつは変化しているんだろうけど
朝
年賀状が幾つか届いた
ありがたい
ありがたいとは思うのだ
が
わたしは買ったまま放置の年賀状を前に
溜め息を漏らしてしまう
その人たちに返すこの者の気持ちは
いま換気不十分である
きっと
筆に陰の気がのる
めでたい時節には
心からの
陽の気で満ちた言葉を発しなければならぬ
陽の気を装うことは出来ても
誰にも見えぬこの気の曇りで
人の陽を汚すのは好ましくない
澄んだ空気で心が満ちたら
筆をとることにしよう
気持ちよい挨拶ができるまで
ほんのしばしの猶予をいただこう